粉ミルクの安全を守るために知っておきたい欧州「セレウリド」の脅威と日本への影響
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こんにちは、三田理化Timesです。
先日、欧州でセレウリド(セレウス菌が産生する毒素)が混入した粉ミルクによる健康被害のニュースが報じられました。「日本で販売されている粉ミルクは大丈夫なの?」「そもそもセレウリドって何が怖いの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、このニュースの背景や原因、そして日本への影響について、わかりやすくお伝えします。
欧州での粉ミルク「セレウリド」混入ニュースの概要
今回の問題は、欧州の特定の乳児用調製粉乳(粉ミルク)の製造工程において、「セレウス菌」が発生させる毒素「セレウリド」が検出されたというものです。
多くの乳児が嘔吐などの症状を訴え、フランスでは汚染の疑いのあるミルクを摂取して乳児3人が死亡しました(現在調査中)。そして、メーカーによる大規模な製品回収が行われています。粉ミルクは、免疫力の弱い赤ちゃんが口にするものだからこそ、微量の汚染であっても大きな健康被害に繋がります。
セレウリドとは?その特徴と危険性
セレウリド(Cereulide)とは、セレウス菌(Bacillus cereus)の一種が、増殖する際に作り出す嘔吐毒のことです。
・耐熱性が非常に高い: 一度作られてしまうと、高圧蒸気滅菌の121℃で90分間加熱しても分解されない ほど熱に強いのが最大の特徴です。
・酸にも強い: 胃酸の影響を受けにくいため、効率よく体内に吸収されてしまいます。
・症状: 摂取後30分〜6時間という短時間で激しい嘔吐を引き起こします。
通常、細菌そのものは加熱で死滅させることができますが、この「セレウリド」という毒素は一度発生してしまうと、その後の加熱殺菌(滅菌)工程では取り除くことが極めて困難です。
なぜ粉ミルクに混入したのか?考えられる原因
粉ミルクの製造現場では厳格な衛生管理が行われていますが、セレウス菌は土壌や農作物など自然界に広く存在する菌です。
今回の混入経路の詳細は調査中ですが、一般的には以下の原因が考えられます。
原材料の汚染: 原乳や副材料がすでに菌に汚染されていた。
製造工程での増殖: 装置の洗浄不備や、温度管理が不適切な箇所で菌が増殖し、毒素を産生した。
特にセレウス菌は「芽胞(がほう)」という殻のようなものを作るため、乾燥や熱に非常に強く、粉体の製造環境では生存しやすい特性があります。
日本への影響と国内の安全性について
結論から申し上げますと、現時点で欧州の当該製品が日本国内で一般流通しているという報告はありません。日本の粉ミルクメーカーは、食品衛生法に基づき非常に厳しい品質管理を行っており、世界的に見ても高い安全性を誇っています。
厚生労働省からも日本では本件に関係する原材料が使用されていないことを確認したというお知らせが出されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69266.html
しかし、日本国内においても「セレウス菌」そのものはどこにでも存在します。製造段階での対策はもちろんのこと、「調乳の現場」で菌を増やさないことが何より重要です。
調乳現場でできる細菌汚染対策
毒素を作らせないためには、「菌を付けない」「増やさない」という基本の徹底が不可欠です。WHOの調乳ガイドラインでも、粉ミルクを介した感染症(サカザキ菌やサルモネラ菌など)のリスクを低減するための方法が示されています。
1. 70℃以上の湯で調乳する
粉ミルク自体は無菌ではないため、調乳時には70℃以上の温度を保つことが推奨されています。 これにより、混入している可能性のある細菌を死滅させることができます。
2. 速やかな冷却と冷蔵保管
調乳後のミルクを放置すると、菌が増殖しやすい温度帯に長く留まってしまいます。 調乳後は流水などで速やかに冷却し、すぐに使用しない場合は5℃以下の冷蔵庫で保管してください。
3. 器具の徹底した洗浄と滅菌
哺乳瓶や乳首に残ったわずかな汚れは、菌の温床になります。
洗浄: ミルクのタンパク汚れに強い専用洗剤を用い、ノズル洗浄や超音波洗浄で確実に汚れを落とす。
滅菌: 洗浄後、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)や乾熱滅菌を行い、無菌に近い状態で保管・使用する。
今後も、調乳についての情報を発信していきます。